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2004年10月1日
スユアe-パブリシング研究会 伊藤 博 ECの発展 EC(Electronic Commerce:電子商取引)とは、米国政府調達を電子化するために提唱されたものが、インターネットの商用化により民間でも活用されるようになったものである。ここでは、B2C(企業対消費者・顧客間)ECを中心として、その発展を概観していく。 インターネット商用利用・ECの黎明(第1期) 我が国における一般企業や個人利用向けのインターネット接続サービス会社(ISP:インターネットサービスプロバイダ)が登場したのは1994年、ユーザー数は1年で100万人ほどに達した。大企業や理工系大学、研究機関は専用線によって接続し、個人はダイアルアップIP接続によって、あるいはニフティなどパソコン通信からのゲートウェイ接続によって利用していたが、非常にコストが高かった。97年にNTTがOCNサービスを開始、全国にアクセスポイントを開設して、低コストで高速回線が利用できるようになったが、それでも当時の専用線(常時接続)料金は128kbpsで月額3~4万円、1.5Mbpsで月額30~40万円と高額であり、ダイアルアップ接続の個人は、2400bpsモデムという超低速通信の従量課金サービスから始めていた。通信環境面では10年で隔世の感がある。 当時発信されていた情報は、大企業の会社案内や広報、技術系社員募集などが主体であったが、海外通販の購入に利用する人や、個人輸入代行サービスを提供する会社も現れ、まもなくワインショップ、花屋、ギフトショップ、Tシャツ屋など国内のバーチャルショップ(電子商店)も現れた。94年時点でパソコン通信を主としたオンラインショップの総売上は、30~50億円と言われていた。当時の小売業店舗販売額143兆円、通信販売2兆円余りと比べると微々たるものであったが、ドン・ペパーズ「ワンツーワン・マーケティング」が、我が国でもこの頃にベストセラーになったこともあり、インターネットの活用が、バブル崩壊後未曾有の不況で効果が見えなくなったマスマーケティングから脱却して、顧客ニーズを把握すると同時に、個々人に対する直接販売に繋がる、次世代マーケティングツールとして、またオンデマンドの販促メディアとしてもクローズアップされた。 96年にはインターネットユーザーの18.4%がネットショッピングを利用し、72.9%が関心ありと答えていた(日経マルチメディア・第2回アクティブユーザー調査)。 一方、日経流通新聞の96年2月調査によると、企業側のネットショッピングに対する認識は以下の通りで、その後の発展の方向性が予測されるものであった。 <インターネット通販の魅力> 3つまで回答可 1. 24時間購入できる 66% 2. 海外商品が簡単に購入できる 45% 3. 商品情報が常に最新 40% 4. 地域限定販売(産直)商品が簡単に購入できる 38% 5. かさばるカタログの必要がない 18% 6. 価格が安い 15% 7. 通販業者毎の商品比較が容易 10% 8. 品揃えが豊富 7% 9. その他 14% <取扱商品> 複数回答可 1. 食品・飲料(酒) 39% 2. パソコン関連商品 28% 3. 衣料品 23% 4. 本・CD・ビデオ・CD-ROM 19% 5. 花・ギフト 15% 6. 時計・めがね・宝飾品 10% 7. 美術工芸品 9% 8. スポーツ用品 8% 9. ホテル予約 6% 10. 自動車関連用品 6% 11. コンサートや芝居のチケット予約 3% 12. その他 29% インターネット・ECの発展 (1)インターネット・EC第2期~企業・家庭へのネット普及とバーチャルショップの増加 その後インターネットは、企業や家庭への急速なパソコンの普及とともに劇的に発展を遂げ、多くのバーチャルショップが出現した。モール型の始まりはIBMの構築した「ショッピング2000」、我が国ではCSKもモールを開設、野村総研のサイバービジネスパーク実証実験、東洋情報システム(現TIS)の電子店舗実証実験なども行われたが、何れもコストが高額で大企業の実験に終わってしまった。中小零細企業は、ニフティやPC-VAN(現ビッグローブ)などパソコン通信会社のオンラインショップや三井物産の開設したキュリオシティに出店するところから始め、資金と技術力のあるところは自社サイトを立ち上げた。日経や朝日・毎日などがニュースサイトを立ち上げている。 (2)インターネット・EC第3期~ポータルサイト、バーチャルモールの発展 96年1月ヤフージャパン設立、インターネットディレクトリ・検索サービスを開始し、ポータル(玄関)サイトとして発展していった。97年5月「楽天市場」がサービスを開始したころには、インターネットユーザー数は500万人を超えたと言われていた。楽天市場は出店料5万円という当時としては劇的なコスト低減を実現して、中小零細ショップを多数集める現在のモデルを確立した。情報サイト、コミュニティサイト、旅行・チケット販売サイト、ホテル予約サイトも出現した。この頃には、セキュリティシステムの導入により、クレジットカードを中心としたインターネット決済システムが一般化し、ユーザーの不安感を除去して、B2CにおけるECの拡大に寄与したものと思われる。 (3)インターネット・EC第4期~金融ビッグバンがネットユーザー拡大に寄与する 99年金融ビッグバンの波に乗って、DLJディレクト証券(現楽天証券)、マネックス証券などのインターネット専業証券会社が開業して、手数料の大幅値下げも相まって株式や債券のネット取引が急拡大し、従来のインターネットユーザーとは異なる新たなユーザー層を獲得することになった。2000年には日本最初のインターネット専業銀行であるジャパンネット銀行が開業、銀行口座振込や振替が可能となり、EC決済環境を強化している。インターネット普及世帯数は99年時点で900万世帯(普及率19.1%)、ユーザー数は1900万人とも言われた。米国のeBayやビッダーズなどがネットオークションサイトを立ち上げ、C2C(一般顧客間の商品取引)仲介という新しいビジネスが確立された。また、多くの企業サイトもこの頃には出揃い、インターネットが情報メディアとして必須になった。 (4)インターネット・EC第5期~ネットバブル頂点に 書籍、CD、ゲームソフトやパソコン・家電の販売、百貨店やスーパー、コンビニ、生協など流通小売系のECサイトや、B2B(企業間商取引)のためのeマーケットプレイス(電子市場)が相次いで立ち上がった。インターネットが経済環境を劇的に変革・効率化していき、経済が好不況の波を超越して発展を続けるという、ニューエコノミー仮説が多くの学者やエコノミストによって語られた。Y2K問題を何事もなく乗り切ってその発展は更に加速度を増し、2000年世帯普及数は一気に1640万世帯(普及率34%)、ユーザー数2700万人となり、01年にはそれぞれ2325万世帯(49.5%)、3500万人を超えたと思われる(情報通信白書、情報通信総合研究所実績推計値などによる)。 一方99年2月末にサービスを開始したNTTドコモの携帯電話インターネットサービスiモードは、15ヶ月後の2000年6月には780万人を超えるという爆発的普及を遂げ、モバイルコマースを実現するプラットフォームに成長し、当初は着メロなどデジタルコンテンツビジネスが起こった。「いつでも、どこでも」インターネットを利用できるユビキタス社会到来を予感させるものであった。また、2000年後半にはCATVやADSLのブロードバンドサービスも開始され、「高速データ通信、料金定額、常時接続」のブロードバンド時代へと突入した。 魅力的な企業サイトやECサイトを短期間で構築するため、戦略立案、IT技術とサイトクリエイティブをワンストップで提供するSIPS(ストラテジック・インターネット・プロフェッショナル・サービス)という支援事業がもて囃され多くの企業が多額の投資を競ったのも、この頃のことである。 (5)インターネット・EC第6期~ネット(IT)バブル崩壊以降 2001年のネットバブル崩壊後、多くのベンチャー企業が資金ショートを主たる原因として撤退・倒産を余儀なくされたことは事実である。しかしEC市場規模(実質的な売上規模)としては、なお高度成長を続けている。むしろブロードバンドの爆発的な普及により、ネット接続環境は劇的に改善され、表現力豊かな真のマルチメディアコンテンツを提供することが可能となったのである。雑誌やカタログなど紙媒体に連動するバーチャルショップが売上げを伸ばす、大企業によるラージEコマースの時代が始まったと言うことができる。また、モバイルEC市場も急速に立ち上がってきた。 ECの現状 現在のECビジネスの勝ち組は、楽天、ヤフーショッピング&オークションだと言われている。先達のキュリオシティやショッピング&オークションサイトのビッダーズ、ニフティやビッグローブ、ソネットなどISPが運営するショッピングモールなどを凌駕している。 単店舗としては、千趣会やニッセン、セシールなど大手カタログ通販系、ソフマップやムラウチなど量販店系、TV通販のジャパネットたかた、アマゾン、紀伊國屋書店やイーショッピング・ブックスの書店系、ファンケルやオルビスの化粧品・医薬・トイレタリー系、デルコンピュータやソーテックのメーカー直販系、ゴルフダイジェスト・オンラインやナチュラムなど専門店系、健康商品のヘルシーネット、ゼイヴェルやマガシークなど携帯電話・メディア連動系などが伸びてきている。百貨店・大手スーパーなど既存小売業は、三越、伊勢丹、東急百貨店、イオン、イトーヨーカ堂などギフトなど限られた分野への参入で本格参入には慎重だが、丸井はカタログ通販連動型で大きな売上げを上げている。店舗連動型のネットスーパーでは、西友、紀伊国屋、よしやなどが地域限定型で参入、コンビニ系では、ファミリーマートが健闘しているが、セブンドリーム(セブンイレブン)は低迷、店舗連動型ではampmが参入している。生協では、首都圏コープ事業連合とコープこうべが大きくEC売上げを増やしている。その他では、通信カラオケや着メロなどデジタルコンテンツ系、日本通信教育連盟など教育系、ネットでのホテル・航空券・コンサートや芝居のチケット予約が大きな売上げを上げている。また、ギャザリングというネットによる共同購入・商品開発モデルをネットプライスなどが実用化した。販売数を数段階で設定し、多く売れるほど価格が下がるタイプや、商品情報と最低発注数を決めて、規定数に達したら注文したり、開発したりするタイプがある。 海外におけるECの現状 米国では、アマゾン、eBay(世界最大のオークションサイト)などのネット専業大手と、百貨店・スーパー・ドラッグストア・ホームセンター・書店・専門店などの大手チェーンストア、通販会社など既存流通小売企業による単独バーチャルショップ、地域小売業の店舗連動(クリック&モルタル)型バーチャルショップなどが一般的である。AOLなどのISPやコミュニティサイトにリンクするバーチャル店舗もある。楽天型のバーチャルモール(電子商店街)は大手では存在せず、百貨店型のカタログ通販ポータル「カタログシティ・コム(アルチュラ・インターナショナル)」がある。我が国で一般的な楽天型バーチャルモールとの違いは、個別のバーチャルショップ(電子商店)との取引でなく、商品カタログのみならず決済や物流までも一元化した顧客に便利な百貨店型のモールを、購買者を多数集めている他社運営のコミュニティサイトやポータルサイト上に複数同時に出店・展開できるということである。 アマゾンは、インターネット上でのビジネス展開に当たって、多額の資金を投入しデータベース・マーケティングを基本する、顧客の購買履歴やホームページのアクセス履歴から、その顧客が買いたくなるジャンルを発見して、その新刊本をお薦めできる個人別ページ(マイページ)を実現するワンツーワン・マーケティングシステムを開発し、ワンクリックで買いたい本が買えるサービスシステムとともに、他社の追随を許さないビジネスモデルを確立し、商品カテゴリーを順次拡大して史上最大の総合ネットショップへと発展を続けている。 また、アマゾンがその発展に活用したアソシエイト(アフィリエイト)プログラムは、自社サイトへの入り口を他社サイト上において集客し、そこからの売上金額の数パーセントをそのサイト運営者に手数料として支払うことで集客・販促ナビゲーションを促すものであり、現在では多くのECサイトが採用しているものである。最近ではYahoo以上に力を持ちつつある検索エンジンであるGoogleが、その検索結果と同時に表示するアドワーズ広告を開発し一般化しているが、更にこれをカタログ検索や商品検索に転用してECサイトに誘導することで手数料を取るビジネスも始め大きな収益を上げている。 米国と同様のブロードバンド先進国である韓国におけるECの特徴は、大手百貨店のカタログショッピングサイトが売上げ2~3百億円規模で複数存在することである。我が国との市場規模の違いを考慮すると、その利用率の高さが理解できる。また、全国的に多数存在しているネットカフェ「PCバン」が、オンラインゲームやオンラインコミュニティをベースとしたデジタルコンテンツ販売の普及に寄与している。また、台湾なども同様であるが、政府が戦略的にブロードバンド普及を主導し、官民あげて教育投資意欲の高さを反映して、学校や家庭への普及が進んでいる。また、韓国では中小企業庁など政府が主体となってB2Bの電子市場を世界に向けて開設している。 次世代のECへ向かって 我が国における2002年から03年におけるB2CのEC市場規模は、2兆6850億円から4兆4240億円と前年比65%もの成長力を示し(経産省とECOMなどの調査による)、e-Japan重点計画の目標値約3兆円を大幅に上回った。1998年(645億円)~2003年の間に実に69倍も成長している。(添付資料:平成15年度電子商取引に関する実態・市場規模調査の概要、平成16年6月)ネットバブル崩壊による影響はここでは全く感じられない。全小売販売額に対するEC化率1.6%を考えると、この先数年間はまだ強い成長余力を秘めていると推察される。 総務省の発表したインターネット接続利用者は、04年4月末現在、ADSL、CATVとFTTH(光ファイバーによる接続)を合わせたブロードバンド接続世帯数は約1538万世帯で、世帯普及率が30%を超えた。電話回線経由のダイアルアップ接続契約数3377万件、インターネット携帯電話サービス加入件数7026万件で、うちフォーマやauのWINなど高速接続の3世代機は1773万件となった。合わせた人口普及率は60%をゆうに超えている。インターネット利用時間も増え、ブロードバンド利用者一人当たりのインターネット月間平均利用時間は17時間を超えた(ネットレイティングス株式会社調査2004年3月現在)。インターネットは、家庭や個人に繋がる最大の通信インフラであり、メディアとなったといっても過言ではない。今後は、よりユーザーフレンドリーになるユニバーサルデザインの普及によって40代以上の専業主婦層やシニア層、子供達にも使いやすくなり、欠くことのできない生活インフラとしての地位を確立するものと思われる。 ECの現在の状況をまとめると以下の通りである。 (1)生活者へのネット環境が整った(世帯普及率60%、ブロードバンド30%超える) (2)ECとその周辺のシステム環境が整った(EC、コミュニケーション、決済、セキュリティ) (3)マーケティングやプロモーション手法が整ってきた(システム、環境、支援体制) (4)ラージEコマースの時代が来た(年商100億円以上のバーチャルショップが続々出現) (5)ブランドのあるリアル企業や店舗連動型に顧客の安心感・信頼感が集まり始めた また、今後ラージECとして取り組むべき課題としては、以下が挙げられている。 (1)顧客基点のマーケティングへの経営・全社レベルの戦略的取り組み (2)インタラクティブ(双方向)マーケティングの見直し (3)次世代ECシステムへのグレードアップ (4)セキュリティの強化(特に個人情報管理徹底、リスク管理) (5)ブロードバンド&ケータイへのコンテンツ制作・配信への対応 (6)カタログ通販(印刷媒体)との連携モデルの確立 (7)リアル店舗またはリアルメディアとの連携モデルの確立 (8)コソーシング、アウトソーシング、ASPの最適活用の推進 *許可なく無断複製・転載を禁ず
by hiro_ito777
| 2004-10-01 23:10
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